
「グレインフリー」「お肉やお魚をたっぷり使用」「香料・着色料不使用」など、猫の健康を第一に考えて作られたというカナガンキャットフード。原材料は、ペット先進国イギリス産のものを使用し、主原材料は人間が食べても安全なヒューマングレードという、こだわりっぷり。
非の打ちどころのないようなカナガンキャットフードですが、果たしてその成分は安全なのでしょうか?
この記事では、カナガンキャットフードの成分の分析結果をもとに、カナガンキャットフードの注意点をご紹介します。カナガンキャットフードが本当に安全なキャットフードなのかどうか、どういう点に気をつけるべきなのかが分かりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
カナガンキャットフードの成分について
カナガンキャットフードは、猫本来の食生活に近いバランスを目指して作られたキャットフードです。猫は、本来肉食動物であり、豊富なタンパク質を必要としています。
そして、小麦やトウモロコシといった穀物類の消化が得意ではありません。
そこで、行き着いた答えが「良質な動物性タンパク質」と「グレインフリー」。
良質な動物性タンパク質を実現するために、主原材料の60%以上にお肉やお魚を使用しています。
そんなカナガンキャットフードには、お肉たっぷりの「チキン」とお魚たっぷりの「サーモン」の2種類の商品があります。それぞれの成分について、AAFCOの基準値とともに、詳しく見ていってみましょう。
カナガンキャットフード「チキン」と「サーモン」の成分および、AAFCOの最低基準値は、以下の通り。
成分 | チキン | サーモン | AAFCO最低値(子猫/成猫) |
タンパク質 | 34%以上 | 34%以上 | 30% / 26% |
脂質 | 16.7%以上 | 14.8%以上 | 9% / 9% |
粗繊維 | 3.25%以下 | 3.25%以下 | − |
灰分 | 10.7%以下 | 10.2%以下 | − |
水分 | 8%以下 | 8%以下 | − |
オメガ6脂肪酸 | 2.99% | 0.8% | − |
オメガ3脂肪酸 | 0.82% | 3.1% | − |
カルシウム | 1.58% | 1.4% | 1% / 0.6% |
リン | 1.1% | 1% | 0.8% / 0.5% |
エネルギー
(100gあたり) |
405kcal | 398kcal | − |
カナガンキャットフードの成分は「チキン」「サーモン」ともに、AAFCOが定める基準を満たしています。
AAFCOは、The Association of American Feed Control Officialsの略称であり、日本語では米国飼料検査官協会と訳される機関のこと。動物と人間の健康を守る、消費者の保護を確保する、動物飼料産業の秩序ある商取引の平等な競争の場を提供することを主目標としていて、動物飼料の製造や表示、流通、販売を規制するための基準や定義を策定、実施しています。
日本のペットフード安全法や各種規約に採用された基準は、AAFCOが定めたガイドラインを参考にしているため、日本のペットフード業界にとっても、AAFCOは非常に大きな意味を持っているのです。
カナガンキャットフードはイギリス産のキャットフードですが、日本で主流なAAFCOの基準も満たしているため、安全なキャットフードと言えるでしょう。
しかし、私が独自に成分を分析したなかで気になる点もいくつかありました。
それは、成分表にマグネシウム量が明記されていないことと、オメガ6脂肪酸・オメガ3脂肪酸の成分バランスです。
マグネシウムの量に関しては、カナガンキャットフードの販売元である株式会社レティシアンに確認し、以下の量ということが分かりました。
マグネシウム量 | |
チキン | 0.09% |
サーモン | 0.13% |
AAFCOが定めているマグネシウム適正量は、子猫や成長期の猫(1歳未満)で0.08%、成猫で0.04%です。カナガンキャットフードは、チキン・サーモンともにAAFCOの基準を満たしているため、安全と言えるでしょう。
さらに、マグネシウムを含むミネラル類について深掘りするのであれば、ミネラル類のバランスが非常に重要になるという点。カルシウムやリン、マグネシウムは、それぞれがAAFCOの成分基準値を満たしていても、成分バランスが悪ければ猫の体に良いキャットフードとは言えません。
実は、ミネラル類のバランスが悪いと、尿路結石になったり、神経症状や血圧調整不全になったりすることもあるため、侮れないのです。
ミネラルバランスは、【カルシウム:リン:マグネシウム=1.2〜1.5:1:0.08〜0.1】のバランスが望ましいとのこと。
カナガンキャットフードのミネラルバランスは、以下の通りです。
カルシウム | リン | マグネシウム | |
チキン | 1.58 | 1.1 | 0.09 |
サーモン | 1.4 | 1 | 0.13 |
カナガンキャットフードは、チキンもサーモンも猫の体に合ったミネラルバランスと言えるでしょう。ややカナガンキャットフードサーモンのマグネシウム量が多いかもしれませんが、許容範囲内ということなので、さほど心配はいらなさそうです。
次に、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスについて。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、猫の健康維持に欠かせない必須脂肪酸ですが、実は猫自身は体内で生成することができません。キャットフードから摂取するしかありませんが、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、双方のバランスが非常に重要となります。
【オメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸=5:1〜10:1】がもっとも皮膚や毛艶・循環機能に良く、【オメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸=3:1】がアトピー皮膚炎に良いとされています。
カナガンキャットフードの脂肪酸バランスは、以下の通り。
オメガ6脂肪酸 | オメガ3脂肪酸 | オメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸の比 | |
チキン | 2.99% | 0.82% | 3.7:1 |
サーモン | 0.8% | 3.1% | 1:3.9 |
カナガンキャットフード「チキン」の脂肪酸バランスは良好ですが、「サーモン」はオメガ3脂肪酸が多く、バランスが良いとは言えません。他の成分が完璧なだけに、やや残念に感じてしまいますね。
とは言え、オメガ6脂肪酸は肉類や卵に多く含まれる成分であり、間食で補うことは容易でしょう。
カナガンキャットフードの成分にタンパク質が多い理由
カナガンキャットフードは、チキン・サーモンともにタンパク質が34%以上であり、非常にタンパク質に富むキャットフードです。
猫はもともと肉食動物であり、動物性タンパク質が主なエネルギー源となる動物です。
猫本来の食生活を目指したカナガンキャットフードだからこそ、タンパク質も多いのでしょう。
また、猫は、小麦やトウモロコシなどの穀物類・炭水化物の消化は苦手であり、アレルギーがあることも多いです。こういった消化器官に負担をかける可能性のある原材料を一切使わない代わりに、肉類や魚類をたっぷり使っているのも、理由のひとつかもしれません。
動物性タンパク質には、猫が体内で合成できない「タウリン」も豊富。
タウリンは、そのほとんどが動物性タンパク質に入っており、植物性タンパク質には入っていません。タウリンには、コレステロールや中性脂肪を減らし、高血圧症や高脂血症、糖尿病を予防する効果があります。
正常な心臓の機能、視覚、繁殖、胆汁酸塩の形成に不可欠な成分であり、タウリン欠乏症になると、肝臓や視力・心臓の健康維持に影響が出てしまいます。
特に猫では、心臓への影響が多く報告されており、タウリン不足は深刻な問題に繋がりかねません。
カナガンキャットフードは、猫の体を第一に考え作られたからこそ、肉や魚といった動物性タンパク質が豊富なのです。
カナガンキャットフードは給餌量の調整が必要
カナガンキャットフードは、猫が本来必要としている栄養バランスを再現して作られています。そのため、カロリーオーバーやタンパク質の過剰摂取に関する心配はいりません。
ただし、これは適切な量をあげた場合に限ります。
カナガンキャットフードは、全猫種・全年齢の猫に与えることができる栄養満点なキャットフードではありますが、与えすぎた場合には胃腸の負担になる可能性があるため、注意が必要です。
今まで低カロリーのフードをあげていた場合、同じだけの量をあげれば、もちろんカロリーオーバー、タンパク質の過剰摂取になってしまいます。
カナガンキャットフードを猫に与える際には、公式サイトに載っている1日の給餌量を守ってあげるようにしましょう。
<成猫の場合>
体重(kg) | 1日の給餌量(g) |
1〜2kg | 25〜35g |
2〜3kg | 35〜42g |
3〜4kg | 42〜50g |
4〜5kg | 50〜60g |
5〜6kg | 60〜70g |
6〜7kg | 70〜75g |
7kg | 75〜83g |
<子猫の場合>
成猫時の体重(kg) | 2〜5ヶ月 | 6〜9ヶ月 | 10〜13ヶ月 |
1〜2kg | 25〜35g | 45〜50g | 55〜65g |
2〜3kg | 35〜50g | 50〜60g | 65〜70g |
3〜4kg | 50〜55g | 65〜75g | 75〜85g |
4〜5kg | 65〜80g | 85〜95g | 95〜100g |
5〜6kg | 80〜95g | 95〜105g | 105〜110g |
6〜7kg | 95〜115g | 115〜120g | 120〜130g |
7〜8kg | 115〜120g | 120〜130g | 130〜135g |
おやつをあげる際には注意
カナガンキャットフードは、カナガンキャットフードだけを与えた場合を想定した栄養バランスで作られています。
そのため、おやつをあげると、おやつの分だけ栄養過多になってしまうのです。
栄養バランスが崩れると、下痢や嘔吐を誘発してしまったり、猫の体調が崩れる原因になりかねません。
おやつを与える際には、カナガンキャットフードの量を減らすようにしましょう。
カナガンキャットフードサーモンを与える場合には、1日の給餌量を少なくし、オメガ6脂肪酸が豊富な肉系のおやつを与えると良いかもしれません。
カナガンキャットフード 成分【まとめ】
カナガンキャットフードの成分は、チキン・サーモンともにAAFCOの基準を満たしており、安全なキャットフードということが分かりました。
猫本来の食生活に重きをおき、猫の健康を第一に考えて作られたキャットフードだからこそ、動物性タンパク質が豊富で、成分全体の34%以上をタンパク質が占めるほど。ヒューマングレードの動物性タンパク質をふんだんに使っているから、肌や毛艶が良く、健康で元気な猫への成長をサポートできるのでしょう。
ただし、完全体な成分だからこそ、間食を与えると、カロリーオーバーやタンパク質の過剰摂取から、下痢や嘔吐といったトラブルにつながる可能性もあります。カナガンキャットフードを与える際には、1日の給餌量とおやつの量を調節する必要があるでしょう。
カナガンキャットフードに関して、詳しい情報を確認したい場合には、以下の公式サイトをご参照ください。